「水」戦争の世紀 (集英社新書)



「水」戦争の世紀 (集英社新書)
「水」戦争の世紀 (集英社新書)

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水に関して世界で何が起きているのかを知る端緒に

この本の構成は、
前半で、世界でいかに水という資源に関して危機が起こっているか世界のいろいろな地域の事例を挙げている。無駄遣いしている国がある一方、危険な泥水を生活用水にしなければいけないほどの地域があり、水の商品化が進められているのだそうだ。
後半では、水というのは商品にして良いのか、基本的人権ではないのかという問いかけと問題提起をしている。
という感じです。

日本は幸い水が豊富な国ですから、私たちにはわからないほど水に関して危機感を持っている地域はあるかもしれません。私たちの水の供給源は主に台風によってもたらされる降水ですから、供給源が海です。一方、帯水層など地下水を供給源にしているところでは確かに水の量の限界があるかもしれません。
ただ、いささかこの筆者の書き方がヒステリックな印象を受けました。水の商品化に伴って、水の自然循環が変わるなど、環境に与える影響が大きいことから詰めるのはわかるのですが、水は基本的人権であるという観点から詰めるほうにウェイトをおいている印象があります。理念はわかるのですが、じゃあ、今のままでも良いのかという問いかけには答えていません。
本当に危機ならばもっと議論になっていると思いますが・・・
まあ、ぱらぱらっと水の偏在はこんなもんだよっていう程度で見るのがいいと思います。
作者の意見よりももっと現実的で有効な考えがあると思います。
私は水資源の偏在に対して何ができるのかあ。
ジャーナリストの告発本

水問題はたしかに深刻だ。

ただ、もう少し論理的、科学的な考察で無いと意味を成さない。

これでは、ただのジャーナリストの告発本だ。
理想的過ぎる主張?

水をめぐって、多くの問題や争いがることが論じられており、事実そうなのだろうと思います。

ただ増える人口、限られた水資源について、ということは分配の問題になると思います。
また、持続できるようにしなければなりません。

貧しい人にもという主張はわかりますが、どうやってについては、理想的すぎないか疑問がのこりました。
環境問題は社会のひずみに直面すること

水にまつわる問題には様々な側面がある。
1.汚染の問題
2.工業、集約的農業畜産業による枯渇の問題
3.ダムなど水系の人為的破壊による、人権、生態系、気候への影響
4.水資源の商品化により、貧しい人にとって水が手に入らなくなりつつあること
5.水は「ニーズ」ではなく水の入手は「権利」であり、脱商品化されるべきものであること

 この中で日本人にとって比較的なじみのないのは「水資源の商品化」だろう。欧州の巨大コングロマリットである「ビベンディ・ユニバーサル」や「スエズ」といった企業は上下水道事業を営んでおり、途上国にも積極的に進出している。そんな中IMFや世銀が貧しい債務国に対して、さらなる融資の条件として水道事業を含む公共セクターを民間に売却するよう強制する。
 そしてアルゼンチンや南アフリカにおいては水道料金が民営化によって下がるどころか値上がりしたり、サービスの質も悪化したり、貧しい人々にとって水へのアクセスは逆に悪化している。
 本書で述べられているIMF、世銀およびアメリカ財務省の間の「ワシントン・コンセンサス」、つまり極力民営化、自由化をすすめさせるという施策についてはスティグリッツの「世界を不幸にしたグローバリズムの正体」にさらに詳細に説明されているので参考にされることをおすすめする。
 そして結びには「グローバルな水資源を商品化するのは間違いであり」世界の市民の共有財産=コモンズとして、商品化をやめ、「脱商品化」すべきだ、とある。環境の問題に真剣に対抗しようとする以上、「暖房の温度を低めに設定しよう」とか、「エコバッグを使おう」とかで済むことではなく、私たちを取り巻く世界の経済、社会の構造のひずみに直面させられざるをえない、それを感じさせられた本である。

網羅しつつ具体的でもあるすぐれた本

日本ではダムの水がなくなりそうというのが何年かおきにニュースになりますね。そして節水しろとかいわれるわけですが、原因はなんなんでしょうか?降雨量がすくないから?
節水しろという割りにコンビニには変わらぬ値段で水が売られている。多くは日本の水系やら地下水とかからくみ上げたもの。

まあそんな疑問の前に自分は水を使いすぎかなとか思いますが。

この本は、水の商品化に待ったをかけています。水という資源の現状、世界の水企業の歴史や具体的な事業、さらに水商品化にwtoと世界銀行が主要な役割を果たしていること、そうした流れに抵抗する運動とそれぞれに具体的な事例がありボリュームもあるので読み応えがありました。

翻訳ものですので日本の現状に関しては記述がないですが(あったような気もしますが)読んでおくべき本かなと思います。



集英社
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